ケツトジャーナル

私たちが忘れている、桜と田植えの密接な関係。

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連日暗くなるようなニュースばかりですが、今回は、春らしい明るい話題です。

 

こちら東京では先週3/14(土)、早くも桜が開花しました。

今年は平年よりも12日早く、観測史上最も早い開花になったそうです。

昨年もさんざん眺めたはずなのに、また今年も眺めてしまいます。毎年、花の美しさに感動し、春の暖かさに気持ちが盛り上がっているのではないでしょうか。

そんな日本となじみ深い「桜」と、やはり日本となじみ深い「田植え」に、深い関係があることについて、私を含む多くの人がいつのまにか忘れているようです。

 

桜の語源を調べてみます。

諸説あるようですが、稲の神様である「サ」が、春になると山から降りてきて、木の上にある御座(ミ「クラ」)でお休みになって花をつけることを示しているとされています。

そしてお百姓さんは、桜の花が咲いたら「サ」の神様が降りてきたので田植えをしようか、と思うということです。

では、寒さの残るこの時期に田植えをしたのかというと、もちろんそうではありません。

現在私たちが目にするソメイヨシノは江戸時代末期に江戸の染井村で品種改良されたものです。農村でサの神様の存在を大切にしはじめたのは、少なくとも古事記以前、つまり奈良時代よりも前からと言われています。つまり、ソメイヨシノの開花を田植えの目安にはしていませんでした。

 

サの神様がおりてくる皐月(「サ」ツキ)にヤマザクラが咲き、田植えの時期を知らせてくれたようです。

 

田植えをするのは、神社や小屋にこもって穢れを祓った若い女性、早乙女(「サ」オトメ)です。
田植え当日はハレ着を着て、華やかに行います。

 

植えた若い苗は早苗(「サ」ナエ)と呼ばれます。

 

そして田植えが終わると、田植えが無事に終了したことを神様に感謝して送る儀式「サナブリ」が行われます。ちなみに、このサナブリは現在でも行われている地域があるそうです。

「サナブリ」は、「サ」の神様が天に登る「さのぼり」が訛ったと言われています。

反対に神様が山からサクラに降りてくることを「サオリ=(サ降り)」と呼び、桜の枝を1本田んぼに立てたそうです。これが花見の起源だという説もあるのです。

 

現在の花見は、田植えとは関係のないところで行われていますが、昔から桜を美しいと感じてきた想いは私たちも脈々と受け継いでいます。
そこに神様の気配のようなものを感じていくと、稲を通して、はるか遠い昔のご先祖さまに繋がるような違った趣がありますね。

今年のソメイヨシノの満開は3/23頃と予想されています。ウイルスの感染拡大防止のためお花見は難しいのかもしれませんが、どこかで桜を眺めることはできるはずです。
満開の桜に、今年も春の訪れに喜びを感じてみましょう!

 

ライター:凱風快晴

参考文献:『日本人にとって自然とはなにか』宇根豊(2019, ちくまプリマー新書)、Wikipedia『田の神』https://ja.wikipedia.org/wiki/田の神