ケツトジャーナル

赤外線水分計FD-800《開発秘話》(3)

    • 開発秘話

<(2)の続き

デジタル式天秤搭載器の登場

村:赤外線水分計で初めて開発したのは1985年に発売された「FD-220」という器種です。今では珍しくなりましたが、熱源にランプを使用したモデルです。天秤がそれまでの上皿天秤から電子天秤に切り替わりました。

 

初の電子天秤搭載の赤外線水分計「FD-220」
編:それまでは、すべて上皿天秤だったんですか!
村:それが当たり前だったから普通に使っていたんですけど、今思えば、最初に試料をぴったり5g採るところから始まるのでなかなか大変な作業ですよ。それでやっと水分測定できるんですから。
編:電子天秤になったのは大きな進化だったのですね。
  そして本題の、赤外線水分計「FD-800」はどのようにして誕生したのでしょうか。

 

背の低い水分計を開発せよ

村:開発にあたって、大きく2つの目標がありました。
  まず当時の販売機種は全てランプを使用しており、縦に背の高いモデルでした。筐体を小型化するため、熱源をランプからヒーターに変えてフラットな形状に変えるのが第一の目的となりました。
ランプ型は構造上、背が高くなってしまう
編:ヒータータイプは初めてだったのですか?
村:1987年に発売された「FD-100」というモデルが初めてのヒータータイプで、シーズヒータを搭載していました。当時のシーズヒータは温度制御信号を受信してからの応答性が良いとは言えず、温度制御を製品レベルに上げるのに大変な苦労があったそうです。個人的な事情がありまして(笑)、この器械だけは開発に関わっておりません。
  結果的に、それ以降の器種はランプ型の一択になりましたが、「FD-800」で改めてヒータータイプに取り組むことになったのです。
編:シーズヒータの応答性は克服したのですか?
村:FD-800ではシーズヒータの代わりにクォーツヒータを搭載しました。
  応答性が向上したことはもとより、乾燥効率の良い中赤外線を発するため、広範囲の試料に適用できる特長が魅力でした。ハロゲンヒータも候補でしたが、クォーツヒータの方が5~10倍程度の部品寿命があるので、採用しました。
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