ケツトジャーナル

赤外線水分計FD-800(6)

    • 開発秘話

(5)の続き

設計者として大切なこと

村:ふたつ目は、製品としての出来栄えを意識すること。
  器械の開発をするときは、機能・精度・納期・コストなどのさまざまな目標設定や要求に対し、どの程度を達成できるかを考えて行動します。もちろん、当社は品質マネジメントシステムに沿って開発しているので要求は完全に達成しなければ開発終了できないのですが、それ以前のアイデア段階の要求に対しても、体感としては総合的な達成率7~8割が最低ラインで、自分の中で5割しか達成できない器械は発売すべきではないと思います。そして開発納期が迫っていても、最後の最後まで粘って粘って…が大事だと思っています。

  そして最後の3つ目は、適度にさぼることです。
  いつも張り詰めた状態では、出るアイデアも出ません。気を抜いた時に急に思いつくことがあるので、さぼることも時には重要なのです。

編:最後に、若い技術者へのメッセージをお願いします。
村:既存のものに満足せず、新しい発想を生み出すことを心掛けて欲しいです。
  私は今もそうですが、新たな仕事に向かうときは、いわゆる“自分の引き出し”を使わないようにしています。過去に経験したことは引き出しにしまい、箪笥の外側に新しい何かを見つける姿勢を忘れないようにしています。その繰り返しでここまで来たので、結局そういう姿勢が重要なんじゃないかと思います。
編:設計者、技術者だけに限らず、あらゆる仕事で大切な姿勢かもしれませんね。大変ためになるお話、ありがとうございました。

赤外線水分計FD-800の開発秘話を尋ねるインタビューでしたが、思いのほか盛り上がり、製品とは直接関係のない話の占めるボリュームが多くなりました。それでも設計ひとすじ約40年の貴重なお話や考えを聞けましたのでぜひ残したいと考え、敢えて掲載いたしました。社外のみなさまに向けたコラムではあるのですが、社内の技術者にも読んでほしい内容です。

試料温度を直接読むという、世界でも類を見ない赤外線水分計「FD-800」は、展示会などでも展示することが多い器械です。デモ等も行いますので、ぜひ実器に触れてご覧ください。

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