ケツトジャーナル

世界の公定法規格の紹介

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当社は「水分計のケツト」として長年さまざまな水分計の開発を行ってまいりました。

水分計を日本国内のみならず海外でもご使用いただくにあたって、測定値の基準としている水分の公定法を紹介したいと思います。

 

公定法とは

物質の水分は、測定方法により値が異なってしまいます。

同じ物質を誰がいつどこで水分を測定しても同じ結果が得られるように、測定方法を定めたものが公定法です。

測定対象や目的等によって、国際機関、国家、若しくはそれに準ずる公定試験機関、研究所において指定されています。

 

ISO規格

まず初めに幅広い分野と地域で使用されているものとして、ISO規格(International Standard規格)があります。

日本でよく耳にするのはISO9001(品質マネジメントシステム)やISO14001(環境マネジメントシステム)などがありますが、各サンプルの水分公定法を記載した項目も1~90000番ある中に数多く書かれています。

当社の水分計ラインナップで一番多い農業分野では、ISO665はごまなどの脂肪種子やナッツ類、ISO712でうるち米、もち米、小麦、大麦など各国で主食となっている穀物、等々試料ごとに水分公定法が定められており、これらは品質の管理だけではなく、取引をする際の基準値の指標となっています。

▼ISO規格で水分公定法が記載されているもの(例:農産物)

ISO665 脂肪種子 103℃,3~5g,3時間
ISO712 穀物及び穀物製品 130℃,3~5g粉砕,2時間
ISO939 香辛料及び調味料 トルエン蒸留法
ISO1573 103±2℃,5g,6時間
ISO2451 カカオ豆 103℃,10g粉砕,16時間
ISO6540 トウモロコシ 130℃,5g粉砕,4時間
ISO6673 未焙煎コーヒー豆 105℃,10g,16時間
ISO11294 焙煎粉コーヒー 103℃,5g粉砕,恒量
ISO24557 豆類 130℃,5g,2時間

その他に世界中の分析法をまとめているAOAC(公認分析化学者協会)法、米国で主要なASTM(米国試験材料協会)法があります。

 

日本では国家規格として作成されたJIS(日本産業規格)法、JAS(日本農林規格)法、農産物検査として使用されている標準計測方法、栄養計算に用いる日本食品標準成分表の分析法も主な方法となっています。

▼日本の規格で水分公定法が記載されているもの(例)

JIS P 8127 (ISO287に対応) 紙及び板紙 105±2℃,恒量
JIS Z 2101 (ISO13061-1に対応) 木材 103±2℃,恒量
JIS L 1903 羽毛試験方法 105℃,2g,3時間
JAS 0911 乾めん類 105℃,2g粉砕,2時間
JAS 1122 削りぶし 100℃,2g粉砕,5時間
標準計測方法 玄米 105℃,5g粉砕,5時間 (20℃,60%RH)
日本食品標準成分表の分析法 洋菓子 減圧70,3~5g粉砕(乾燥助剤法),恒量

このように、サンプルによってさまざまな温度や方法で水分が求められているのです。

 

当社ではこれらの公定法で、さまざまな試料の含水率を日々測定し、水分計の目盛りに落とし込んでいます。

しかし、世の中には主な水分公定法に掲載されていない品目や、これらを原料としてさまざまな製品に加工されているものが数多く存在しています。

そのようなものの含水率を知りたい時にはどうしたら良いのでしょうか?

 

次回お話したいと思いますので、お楽しみに!

ライター:Nokko

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