ケツトジャーナル

バケツ稲 育成記【その2】

    • 米ラボ

バケツ稲育成記【その1】の続きです。

今回は「中干し工程」からその後の稲の変化、その対策や検討、現在に至るまでをお伝えしていきます。

 

中干し工程

背丈が40~50cm程度になってきたころに、「中干し」という作業を行います。干し、とあるようにバケツ内の水を抜き、土を乾燥させる作業です。

なぜこの工程が必要なのでしょうか。

中干しの効果は大きく分けて二つあります。

①土中への酸素の供給

土のなかでは稲が成長していくにしたがい、土中にガスが発生します。

これを逃がさずにそのままにしていると土中の酸素が無くなっていきます。そうなると稲の発育に悪影響を及ぼし、最悪、枯れてしまします。

これを防ぐために水を抜き、乾燥させ土中の内部のガスを抜き酸素を供給するのが一つ目の理由となります。

②分げつの停止、根の強靭化

稲は水を止めることにより分げつが停止します。

水分の不足を感じた稲は水をよく吸い上げようとより強く根を張り、水を吸い上げる強さが増加します。

これらの働きにより、より倒伏(稲が風雨によって倒れること)に強い稲となります。

 

上記二つのために中干しを行いました・・・が、6月は梅雨の時期。

雨が降っては台無しなのですが、なかなか土が乾きません。

中干し期間中に雨が降ってきたので、屋根の下に避難!

 

一度6月初めに行いましたが不十分なのではという感触もあり、7月中旬に再度行う運びとなりました。

初めての稲育成なのでタイミング・中干の期間ともにざっくりとした目安しかわからず、半信半疑での中干となりました。

うまく効果を発揮してくれることを祈るばかりです。

 

 

自然界からの訪問者

バケツ稲育成中、様子を見に行くとちらほらと訪問者がやってきているのが分かります。その中からいくつかを紹介。

テントウムシ

テントウムシです。6月中旬くらいでしょうか、葉の裏にうろうろしているのを確認しました。

ご存知、ニジュウヤホシテントウです。

テントウムシといえばアブラムシを食べるものですが、ニジュウヤホシテントウは葉をたべることもあるらしいとのこと。

丁重に野に帰っていただきました。

 

カメムシ

カメムシ!カメムシですよ。あのカメムシです。

なんでこんなにカメムシに敏感かというと、カメムシは稲作において天敵中の天敵なのです。

カメムシは生育中の稲にとりついて吸汁するのですが、そうなった稲の玄米は、黒っぽくなったり赤っぽくなったりと変色してしまいます。

それらの玄米は着色粒と呼ばれ、玄米の等級が落ちてしまいます。このためカメムシは稲作を語る上で切り離せない虫なんです。

カメムシによる被害を受けた玄米(着色粒)

 

写真にある街中でよく見るカメムシ以外にも、一見カメムシに見えない細長いタイプのカメムシもいます。

彼らも普通に稲を吸いに来るので、注意が必要です!

 

この子はどこから来たのかはわかりませんが、まだ穂がぜんぜん出来てないにしても良い影響あるとは思えず。

こちらも野に帰っていただきました。

その後も様々な虫がちらほら姿を見せるため、都内であっても生態系とかがちゃんとあるんだなぁと感じる次第です。

 

 

病気の兆候?それとも正常?

六月中旬くらいから、葉の一部が黄色く変色していく症状が発生しました。

調べてみると赤枯れ(稲の発育障害の一種)では?という疑念が浮かんだものの、典型的な症状より症状が穏やか。

試しにJAが開いているバケツ稲事務局に相談してみると、初期に生育される葉は枯れるとのこと。

とはいいつつも変色した葉も目立っているかなと感じたため、日干しをちょっと長めに行ったり水を頻繁に入れ替えたりなどの対策を行いました。

現時点では元気な緑色をした葉も結構あるため大丈夫かなと判断して、状況を見守っていきたいと思います。

 

今後の流れ

しばらくは穂が生成される時期となり、育成としては水を切らさずにすることぐらいでしょうか。

大きな動きはないですが大事な時期です。また秋口になりましたら、こちらに報告したいと思います。

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ライター:バケツ稲育成班・高橋

 

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