ケツトジャーナル

玄米をくじけずに食べる方法【びっくり炊き編】

    • 米ラボ

米ラボでは日々、米に関する調査・研究を重ねています。

今回は「玄米をくじけずに食べる方法」の研究です。

 

昨今の健康食として有名な玄米ですが、一般家庭に普及しているかというとそうでもありません。

ふっくらと炊飯させるために時間と手間がかかるためです。

玄米は白米とは異なり、上図のように果皮、種皮、糊紛層に覆われていることから、炊く前に何時間も水に漬けておく、粒表面に特別な加工を施すなどの必要があります。例えば、玄米に高温高圧を加え、わざと表面に亀裂を入れることでふっくらとおいしい玄米にするための研究開発も進んでいます。

こういった時間と手間をかけることで、玄米に充分に水が吸収され、糊化(こか)が起こり、ふっくらとした炊飯に繋がるのです。

本研究ではこの吸水をいかに手軽に引き起こすかということを考え、玄米の「びっくり炊き」試験を報告致します。

秋田地方に江戸時代から伝えられてきたという話もあり、昔から存在する方法のようです。戦時下では「節米(せつまい)食」としても知られていたようです。

鍋で玄米を煮立て、途中でサッと追加で水を入れる(びっくり水)だけで、玄米がふっくらと出来上がるとのこと。

調査した中ではこれが最も短時間で手軽な方法でした。

 

検証

 

米「ラボ」ですから、重量や水量の測定にはふんだんに理化学機器を使用します。

材料と方法

材料:玄米(新潟県産コシヒカリ) 300g(2合)ずつ

炊飯器:Natonal製IHジャー炊飯器SR-A10C

 

対照区

玄米および釜の重量を測り、洗米後、釜内の玄米目盛を目安に加水します。

加水後の総重量から玄米と釜の重さを差し引いたところ、加水量は620g(ml)となりました。

IH炊飯器にセットします。白米とは異なり、水が濁りません。

玄米モードで炊飯を開始し、時間を記録します。

炊きあがった後はそのまま15分蒸らし、かきまぜた後、重量を測定します。

 

びっくり炊き

玄米および鍋の重量を測り、洗米したら鍋に玄米と、その1.2倍の水(432ml)を加えます。

吹きこぼれを少しでも防止するために、ル・クルーゼの重い鍋を使用しました。

 

鍋を強火にかけ、時間の記録を開始します。

 

ものの5分経った頃でしょうか、ル・クルーゼの重い蓋がカタカタ鳴り響き、吹きこぼれが発生しました。

 

慌てて火を弱め、蓋をずらして蒸気を逃がしつつ、様子をみます。

コンロから離れられません。

 

開始から15分後、水分が減り、ご飯が炊きあがるいい香りが漂います。

こげつくような「バシッ バシッ」という音がし始めたので、0.8倍の冷水(288ml)を入れます。

 

よくかき混ぜて蓋をして、さらに煮立てます。

 

中を確認すると、水分はほとんど見えなくなっていたので火を止めます。

蓋をしたまま15分蒸らし、かきまぜた後、重量を測定します。

・・・

炊飯結果と考察

びっくり炊きの炊飯時間は驚異の21分

玄米モードでの炊飯に2時間近く要したことにも驚きですが、その1/5の時間で終了していました。

しかしながらびっくり炊きは加水量が多いにも関わらず、その6割近くが蒸発し、玄米に吸収されていないことが分かります。

前調べでは、普通に炊飯した玄米よりもふっくらするはずです。

これはもしかするとやってしまったかもしれない…と明らかな数値の結果から予想される結末へ不安を抱えながらも、官能試験(実食)へ移ります。

 

官能試験(実食)

対照区

一口入れた瞬間からおいしいことが分かりました。

一番は数値にも表れている通り、米がちゃんと水を吸収し、ふっくら炊けていることが要因でしょう。

これは白米が混ざっているのでは?なんて言う方もいました。いいえ、100%玄米です。

 

びっくり炊き

粒感がしっかりとあり、硬めに炊かれている米と思えば食べられますが、対照区のふっくらからは程遠い食感です。

白米部分を覆う種皮や果皮が、対照区とは異なり突き破られておらず、粒が膨れきっていません。

対照区に比べ玄米特有の匂いも強く感じました。

明らかに、これは失敗・・・

敗因としては恐らく、吹きこぼしが起こった時に蓋を開けてしまったことや、びっくり水を入れるタイミングが尚早だったのかもしれません。

また仮に成功したとしても、火をつけてコンロの前から離れられない調理状況、少しのタイミングで失敗が起こり得るリスクを考慮すると、いくら調理時間が短いとはいえ、びっくり炊きを日常には取り入れづらいのではないでしょうか。

・・・

これらを踏まえた、最終的な結論はこちら!

すごいんです。

しかしながら、炊飯時間に2時間を要するデメリットは解決したいものです。

多くの炊飯器の玄米モードそのものが、長時間の炊飯を前提として搭載されています。

では、通常モードに何かしらの工夫を加えれば、短時間のふっくら炊飯が実現するのでは・・・?

引き続き、今後の研究報告にご期待ください。

炊飯器編へ続く。

ライター:さちのか🍓

参考文献

美味しいお米.net http://www.美味しいお米.net/okomechishikigaiyou/
戦時下に学ぶ節約術! http://papyrus-net.com/senjikanosetuyaku.html
農文協 イネ大辞典
日本精米工業会 米穀検査技術研修会資料